ロンドンの人が一番恐れていること

ロンドンに住んでいた頃、知人がふと言いました。

「ロンドンの人が一番恐れてるのは、Racist(人種差別者)だと思われることだよ」。

当時は特に気にもとめず、この発言を聞き流していたのですが、自分にとっては意外に影響力のある教えだったと、後年になって気がつきました。

というのは、ロンドンでの滞在が長くなり、そして後にアムステルダムにも住むようになって、いつの頃からか、自分の中で対人関係における一つの基準のようなものができていたからです。

それは簡単にいうと、相手のindividuality(日本語では「その人固有のもの」、「個性」という意味)を見るように努める、ということ。

その人の国籍や文化的背景、宗教ではなく、ましてや皮膚の色や目の色なんかではなく、その人の固有の資質、つまりindividualityを見るようにするということ。

これは「言うは易し、行うは難し」ですが、私は誰か人と会う時には、常にこういう視点で相手を見るよう心がけています。

国籍や文化的背景、皮膚の色といった、基本的には変えることのできない(or 変えることの難しい)属性に焦点を合わせて、自分との「違い」を意識したり、強調したりするのではなく、その人を構成する様々な要素を統合した上位にあるもの、その人の個性、唯一性、つまりその人のindividualityを見るということ。

ロンドンやアムステルダムといった、様々な国から来た人が住む多文化、多国籍の街に住む上では、最も大事なマインドセットだと思います。

もちろん人との関係では、自分と合う、合わないというのがありますので、100人いたら100人と良好な関係を築けるわけではないですが、少なくともこのアプローチがもっとも公平なのではないかと私は思っています。

今後は日本に住んでいたとしても、日本以外の国にルーツを持つ人との交流が増えていくことは確実です。

そういう中でも、相手のindividualityを見るように努めるというのが、もっとも基本的、かつ重要な心がけとなるのではないでしょうか。

私の場合は、「こういう心がけを持とう」と思ってこのマインドセットを育んだわけではなく、いつの日か気付いたらこういう考えに至っていたわけですが、冒頭の知人の発言は、当時は聞き流していたものの、振り返ってみると最も影響力のある教えだったと気がつきました。

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