「東京」という親からの遺産

正確に言うと私は東京生まれではないのですが、東京には人生の3分2以上住んでいるので、東京がホームタウンだと思ってます。

外国に住んでいる時に「Which city in Japan are you from?」と聞かれたら毎回「I’m from Tokyo」と言ってました。

これは「Tokyo」を知らない人はなかなかいないので、単純に話が早いっていうメリットが大きかったのですが…。

さて、私は小学校から大学まですべて東京にある学校に行っていましたが、このアドバンテージについてと、親からの(お金ではない)遺産について書いてみたいと思います。

……

東京は日本の中心ということで、ヒトもモノもたくさん集まってきます。

日本で起こることや流行ることの大部分は、まだまだその大半が東京発で、その後日本の他の街に伝播していくというのが恒例のパターンです。

そういう意味で「刺激を受ける機会が多い」というのが、東京に住むことのわかりやすいアドバンテージの一つだと思います。

これとは別に、もう少し個人の生き方とかメンタリティーのようなものについて考えた時、東京出身であることや、東京に子供時代から住んでいることには、もう一つ大きなアドバンテージがあると思います。

それは「東京」をデフォルトとして考えられることです。

東京に住んでいることや東京にあるものを、特別なことだと感じなくてもいいということ。

(これは裏を返せば、どれだけ自分が恵まれているかを忘れてしまうことに繋がりかねませんが、今回はこのような点については深入りせず、ポジティブな点に焦点を当てます。)

特にこれは、海外に出ることを考えると大変大きなアドバンテージだと感じます。

東京に住んで、ある程度満足して、もしくは外の世界が見たくなって、「さて次はどこへ行こうか」となった時に、「海外」という選択肢が自然と出やすいのではないのかなと思います。

(私は小さい頃から東京に住んでいるので、正直肌感覚としてわかっているわけではないのですが)地方出身の人たちの話を聞く限りでは、まず「東京に出る」というのが「第一の越えるべき大きな壁」としてあるように見えます。

その点、東京の人であれば、「東京の次」として「海外」を目指しやすいのだと思います。

少なくとも心理的なハードルはかなり低いのではないのかな、と思います。

(これも逆のことが言えて、東京が世界最大級の都市のために、他の国のことを考えた時、それがたとえ首都であっても「小さく見えてしまう」、「不便そうに見えてしまって行く気がなくなる」ということも大いにありえますが、ここも今回は深入りしません。)

自分の家族の居住地について振り返ると、私の場合この「東京に出る」というステップは、私の親世代が越えてくれていたステップでした。

私の祖父母は、日本のある地方都市に代々住んでいます。

そして私の両親が、そこを出た第一の世代。

両親は結婚後いくつかの街に住んで、最終的に東京に行き着いて、それからは東京に住んでいます。

そして私が、一族の中では海外に居住を移した第一の世代。

もちろん、地方都市に住んでいても、そこから海外に直接居住を移す人もたくさんいますし、東京を経由するのが不可欠なステップというわけでは決してありません。

ただ、もし私が地方の街にずっと住んでいて、大学も地方で行っていたとしたら、「外国に行く」ということはあまりにも大きなステップのように感じたと思いますし、おそらく実行できなかったと思います。

大学を卒業した時に、「外国へ行こう」ではなく「まずは東京へ行こう」と妥協したと思います。

そのような意味で、「東京行き」というステップを越えていてくれた親には感謝しています。

このような親からの「遺産」(私の親はまだ生きていますので「遺産」というのは正しくありませんが)について気づけたのは、海外に居住を移してずいぶん時間が経ってからです。

もし東京にずっと住んでいたら、ここには絶対に気づかなかっただろうし、感謝の念も抱かなかったと思います。

「親が何かをクリアしてくれていて、それが自分の人生を少し楽にしてくれていた」ということは、今よりも若い頃には考えたこともなかったことです。

でもこの点に気づいてからは、世代間のつながりとか、引き継いでいくものとかに、不思議な縁のようなものを感じるようになりました。

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